Taking the Long Way
Dixie Chicks
Bmg
発売日 2006-06-12
赤ん坊と戦争は誰にも変えられない。だが、赤ん坊と戦争の影響で、ディキシー・チックスは2002年の前作『Home』のリリース以来、永遠に変化した。前作がこの3人組の早熟な少女時代のショーケースだとしたら、本作『Taking the Long Way』は、落ち着いて成熟し、大人になった彼女たちの心のあり方を映しだす鏡だ。ジョニー・キャッシュ、レッチリらを手がけた有名なリック・ルービンをプロデューサーに迎えた本作。ルービンはチックスを、"ロック・アルバムを作るカントリー・バンドではなく、カントリー・アルバムを作る偉大なロック・バンド"と考えた。新作は美しい音速のタペストリー(アクセントとして、ビートルズ風の特徴がふんだんに織り込まれている)で、同時に、この数年の激動の私生活と政治的ないざこざに震える3人の女性の一途な部分と脆さが同居した印象を与える。決然とした「Not Ready to Make Nice」で、2003年のブッシュ批判以来、3人はその立場を変えていないと明確に訴えている。自伝的な要素のある「The Long Way Around」では、自分の人生で"逆らうなと言われた人全員に、へつらい"、何も考えず、意見も言わずに、他人に従うつもりはないと保証している。チックスはセレブを尊大だと冷ややかに笑い(「Everybody Knows」)、新米ママとして、スポットライトから離れ、家族という人生の避難所を大事にする気持ちが大きくなっているのだ(「Easy Silence」、「Lullaby」、「Baby Hold On」)。進むか、退くか。両方の情熱がこのアルバムを走り抜け、不妊(マーティー・マグワイアとエミリー・ロビソンの姉妹は、ふたりとも不妊で人工授精を行った)、アルツハイマー(ナタリー・メインズの祖母が患ってる)という個人的な問題にも触れている。全14曲、シェリル・クロウ、ゲイリー・ルイス、マイク・キャンベル、ケブモといった共作ライターたちを迎え、チックスは日記を書いてでもいるように、自分たちの生活を正直に、そして細かくつづっている。そのためか、最初に聴いた時は『Taking the Long Way』はあまりにも陰気に聞こえてしまう。最後まで聴くには、もう少し明るく、アップテンポな曲(セクシーで60年代の香りがする「I Like It」のような)があればよかったと思ってしまう 。また、ダレル・スコット、パティ・グリフィン、ブルース・ロビンソンらが『Home』で披露したような楽曲の作りのクオリティ面で、本作は欠けているようだ。だが、何度も聴いていると、こうした不満は消散する。締めくくりの曲、R&Bとゴスペルの競演「I Hope」で、チックスは自分たちの経歴を切々と歌いあげる。彼女たちの抵抗には、深い苦痛が深く刻まれているようだ。
すばらしかです 2007-02-14
2006年発表作品です。この三人娘は本当に素晴らしい才能に恵まれ
ています。様々な経験を経て本作をリリースすることになるのです
が、政治的発言で窮地に追い込まれたり、出産を経験した三人の人
間的成長を感じることができる作品になったのではないでしょうか?
基本をカントリー・ミュージックというケルトの流れを汲む、米国
白人の歴史に根ざした音楽を基本に、ロックやポップスの要素をし
っかりと取り入れ、国民に認められるような存在にまでのし上がっ
ている。
一曲目が素晴らしいカントリー・サウンドであったことが嬉しい。
「ロング・ウェイ・アラウンド」は、長い道、そう「人生」にある
出来事を歌っているようだ、まだしっかり聞き込んでいないので、
歌詞までは目が行き届いていないが、なかなか誇りっぽいカントリ
ーソングである。流石に、泥臭さはなく、プロデューサーの仕業だ
ろうか?やわらかいキーボードのサウンドが後半部の盛り上がりに
助走をつけている。
二曲目は大陸的なサウンドに温もりを与えるような、ナタリーの
ヴォーカルが素晴らしい。
Not Ready to Make Niceは三曲目にして、クライマックスを感じ
るほど壮大かつ荘厳な曲。メロディー・ラインのヴォーカルが際立
つ曲なのですが、ストリングスや鍵盤のセクションの豊かな演奏と、
メンバーの最高のコーラスが紡ぐ複雑で賢覧な音が、曲そのものの
抑揚をより増幅させるような、素晴らしい楽曲。心が揺り動かされ
ます。
普段はスピーカーからの音を楽しむのですが、思い出したように、
モニタ・ヘッドホンを取り出しました。
さらに詳しい情報はコチラ≫